日本の別学私立校からアメリカの共学ボーディングスクールへ:日米の私立教育に感じる違いとは

ボーディングスクール

萩原麻友(ハギワラマユ)のブログへのご訪問ありがとうございます。

このブログでは、子育てや教育や進路に関する情報を発信しています。

この記事ではこんなことを解説しています
  • 日本とアメリカの学校のアプローチの違い
  • 日本からアメリカの生活への適応
  • ボーディングスクール入学前の想定とのギャップ

子どもの教育、将来の進路、そして成長に関する決断を下すとき、私たちは何を頼りにすればいいのでしょうか?

多様な進路の違いを正しく理解し、子どもや家庭方針に適した教育環境を選ぶことは難しいことです。

この記事では、実際に日本の別学私立校からアメリカの共学ボーディングスクールに子どもを入学させたばかりの保護者さんの声を通じて、日米の私立学校教育の違いに迫ります。

経験者の声から学び、ヒントを得ることが、よりよい選択と気付きにつながるはずです。

日本とアメリカの私立学校の違いについて考察を深めていきましょう。

アメリカのボーディングスクールに子どもを入学させてみた感想

今回、数年にわたってお付き合いのある保護者の方から貴重なコメントをいただきました。

この保護者さんは、お子さまをアメリカのボーディングスクールに送り出したばかりです。

進学先選びや出願プロセスにおいて、私もサポートをさせていただきました。

この保護者さんに、「入学してすぐだからこそ感じる日米の学校の違い」についてコメントをいただきました。

個人情報がわからない範囲でそのコメントを記事化する許可を頂きましたこと、感謝いたします。

実際のコメントは、まとまった文章として提供されましたが、今回は記事をわかりやすくするために、トピックごとに分割しました。

私のコメントと合わせてご紹介します。

日本とアメリカの学校のアプローチの違い

日本とアメリカの私立教育は実際どれほど異なるのでしょうか?

実際に日米で私立学校に通わせた保護者さんのコメントを通じて、二つの国の私立教育のアプローチの違いに焦点を当てます。

実際入学してみて、日本とアメリカの学校のアプローチの違いを感じましたか?

正直どこの私立校も近しい思想で運営しているんだと思いますが、我が家的には子供の幸福を第一義に願いながら、適度にチャレンジをするという考えが本当に良いなと思いました。

学校のカリキュラム自体が選択肢が多く(AP*などもバリエーションがあり)、校内で完結できるプログラムが揃っていることが結果子供に無理させすぎずチャレンジできる仕組みになっていて、すごいな、と思いました。

*APとは:Advanced Placementの略で、高校で受講できる大学レベルの科目群と単位認証のための試験の総称です。

私もボーディングスクール出身者ですし、北米とヨーロッパのボーディングスクール訪問をしてきました。

小中高の段階からボーディングスクールに入るメリットとして私が一番大きいと考えるのは、子どもの向き不向きをあれこれ試せること。

そういう意味では、学業以外のチャレンジがたくさん待ち受けています。

アメリカに限らず多くのボーディングスクールでは、勉強だけじゃなくスポーツや文化系活動を複数試せるようなカリキュラムと施設とマンパワーが整備されています。

いろいろ試しているうちに、運がよければ、向いている分野や好きな分野が見つかります。

「合わない」分野がわかることも、収穫です。

普通は大学に行ってからじゃないとできないような選択肢もあります。私も高校でセーリングに出会って世界が広がりました。

没頭したいと思える対象が早く見つかるほど、先手の利で上手くなれます。

上手くなると、さらにどんどん活躍の場が与えられるのがボーディングスクールです。

一方で、こんなことも書かれていました。

日本の中堅進学校等を見ていると、ただただ定期試験へのコミットと勉強時間を捻出するように言われることが多いみたいですが(あと、偏差値偏重の学校選びと進学実績を意識した学校側のご都合主義的なども)、逆を返せば勉強だけやってれば大学受験に受かるというのもイージーで本人も親としてもある意味楽だな、とは思いました。

たしかに日本式は単純で、ある意味イージーというのも、一つの側面ですね。

日本の教育システムは、試験結果に基づいて評価され、そのため勉強に専念することが求められます。

これは、勉強が得意で好きな子どもに合っています。

一方で、アメリカのようにホリスティックな受験制度ではトップ大学になるほど「勉強だけ」では入れません。評価基準も不透明です。

どちらのアプローチが良いかは一概には言えません。

学校体験やその後の人生に何を求めるかにもよります。

アメリカのボーディングスクールへの入学は、アメリカ独自の入学試験制度に備えるためのカリキュラムに身を委ねることを意味します。

私のボーディングスクールでの4年間のビフォーアフターにもあるように、このカリキュラムのおかげで、入学前は「勉強しかなかった」私でも、ボーディングスクールで4年間の充実した経験を積み重ね、個人として多方面に成長できました。

ただ、それは常に「これだけじゃまだ足りない」「自分にはまだなにかあるはず」という終わりなき探求でもありました。

このご家庭は、留学を考え始めたときから、勉強だけでない挑戦的な環境を求めていました。

お子さまも、勉強だけでなく、さまざまな体験に前向きで、幅広い興味関心を持っており、ボーディングスクールでの挑戦に向いていると感じました。

日本からアメリカの生活への適応

日本からアメリカへ、

実家暮らしから寮生活へ、

男女別学から共学へ、

というトリプルの移行を一気に成し遂げた今回の生徒さん。

この移行がどんな体験だったか、お伺いしました。

日本の別学私立一貫校からアメリカの共学ボーディングへの移行はどうでしたか?

生活についてですが、娘においては交友関係も非常に恵まれていて、優秀でかつ人柄の良い友人たちに囲まれて精神的にとても安定しており、ハッピーそうです。(男女問わない友人ができたのも本人的には良さそうです)

ご両親もさぞかし不安だったことと思いますが、うまくシフトされていたとのことでよかったです。

ベースとして英語力がある前提の学校だと、「国で固まる」みたいなのは少ない(人種はありますね)ように感じました。これは日本人としては英語力をある程度上げて留学臨んだ方が良いという気づきです(他方、各国の学校制度で育った子の方がアイデンティティや個性の点で揺らぎがないというのもありそうで、現地校で英語を身につけられるのが理想な気がしましたが実際には難しいですね)

興味深いご指摘です。

私もよく聞かれる、「留学前にどれくらい英語をやっておけばいいのか」というご質問とも通じます。

参考:小学生英語のうちから意識しておきたいCEFR対照表【幼児・中学・高校生も】

この方の視点では、先にできる限り英語力を磨いておいたほうが現地での交友関係を広げやすい。

一方で、日本の教育を受けていたほうが、(海外で発揮できる)アイデンティティや個性が立つ。

双方にメリットを感じられているようです。

特に、今回の生徒さんは日本の伝統芸術も嗜まれていました。

日本の伝統文化に関する知識や技能を持って海外に行かれたことで、きっとその資産が役に立つことがあるでしょう。

食事に関していうと、(今のボーディングスクール)はかなり美味しいと言っており、日本にいる時よりもきちんとご飯を食べるようになったみたいです。

これは本当によかった。食生活って心身にとって大事ですからね。

学校の立地によっては、デリバリーや徒歩圏内の飲食店など、学校の外の食事で息抜きもできます。自炊が許される寮もあります。

食生活は案外重要なので、ボーディングスクールを見学する際、ランチどきに重なると嬉しいものです。

健康的な留学生活を送っていただけたら嬉しいです。

参考:ボーディングスクール出身者にしかわからない「あるある」32選

ボーディングスクール入学前の想定とのギャップ

最後に、お子さまが入学してから初めて見えてきたことを伺ってみました。

アメリカのボーディングスクールに入学してから見えた課題はありましたか?

強いて日本の学校の違いで特にネガがあるとすれば、Extended Weekendや都度休みの往復や送迎などで想定外に時間的経済的必要経費がかかる割にこの手の重要なことは現地に情報を取りに行かないとアクセスしづらいこと

これは確かにありますね。

一般的にアメリカのボーディングスクールでは、サンクスギビング(11月)、冬休み(12月)、春休み(3月)、夏休みといった長期休暇が合計で年に4回あります。

それに加えて、各学期の中間に1回ずつロング・ウィークエンドと呼ばれる短い休みが設定されています。

長期休暇や短期休みに帰省できない生徒のために、一部の学校は寮を開放したり代替の宿泊プログラムを提供してくれます。しかし、ほとんどの場合、生徒たちはどこか別の場所に行かなければなりません。

イギリスやオセアニアでは、学外のガーディアンが身元を引き受けてくれるのが一般的ですが、アメリカにはそういうものは一般的ではなく、ある意味自由です。

私が留学生の頃、冬と夏は帰国しましたが、ロング・ウィークエンドやサンクスギビング、春休みは学校の友達の実家に泊めてもらっていました。

居候は、現地のライフスタイルを体験できるし、帰国するよりは時間的経済的負担はないものの、気遣いが発生しますね。

ほかにも。

先生は立派なことを言うものの、Executionにおいて個々の先生の裁量が問われ、絵に描いた餅になることがありそうなことでしょうか。(日本の学校は絵自体がイマイチでもExecutionは寸分違わずやってくれるので)

これも面白い対比ですね。やはりボーディングスクールのリーダー層は絵を描くのがうまいというか、リーダーらしいパフォーマンスをはっきりされます。

一方で、日常的に子どもと触れ合う先生がたは、歩んできたキャリアや受けてきた教育や人格においても様々。当たりはずれもあります。

日本でも、子どもと触れ合う先生方の当たり外れはあるでしょうが、同じ日本人同士で期待値のズレもそこまで大きくなりにくい(と思われる)点では安心感があるかもしれませんね。

まとめ

日本の別学私立校からアメリカのボーディングスクールにお子さまを入学させたばかりの保護者のお声を通じて、日本とアメリカの私立学校教育の違いを探ってみました。

これからも、留学経験者(やその保護者)の声を通じて、教育の多様性と個別性を明らかにし、進路を模索する皆さんの参考になる情報を提供したいと考えています。

私は、学校は常に移り変わるナマモノであり、その体験は一人ひとり異なると思っています。

このサイトに書いていることすべてを盲目的に信じる必要はありません。

しかし、新しい環境に飛ぶこむときにどんな課題や喜びがありうるのか、それを経験した方々から学ぶことができると考えています。

誰かの将来の学びや教育選択の参考になりましたら嬉しいです。

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