この記事のタイトルは、ある本の見出しをそのまま使用しております。
その本とは、大阪市に2006年に開校した市立大空小学校の初代校長である木村泰子さんの著書『10年後の子どもに必要な「見えない学力」の育て方』です。
著者の木村さんが校長を務めていた大空小学校で実践されていた障害の有無に関わらずに子どもたちが学び合う教育が注目され、『みんなの学校』というドキュメンタリー映画が生まれたことでも知られています。
そこでの実践から抽出された子育てのヒントがこの本には詰まっています。
簡単な読書メモとして、ここに共有します。
10年後の社会を生き抜くために必要な4つの力とは
10年後の社会には「多様性」「共生」「想定外」がある。それらに対応するための力は、テストで測れるような学力だけでは身につかない。
ではどんな力があれば、10年後の社会でもやっていけるのか。
木村さんが大空小学校で在任中に掲げることにしたのはこの4つでした。
- 人を大切にする力
- 自分の考えを持つ力
- 自分を表現する力
- チャレンジする力
これらの力は、数値化もできないし、教えられるものでもありません。
でも子ども同士の関係性のなかで育つもの、と木村さんはいいます。
この本では、この4つの力をつけるために家庭でできることについても触れられています。
「まず、子どもに4つの力をつけさせたかったら、親自身が4つの力をつけることです。」
うん、わかるよ。でもそれが難しい。
我が家の教育方針について書いた記事でも私の試行錯誤を載せていますが、言うは易く行うは難しです。
4つの力が完璧に揃うまで待つ必要も理由もありません。
木村さんも書かれていますが「4つの力の中で、今の自分にいちばん身についている力は何だと思う?」「自分にいちばん足りない力はどれ?」と意識のなかに指針として持ち続けることが大事です。
本の目次
この本に書かれていることをすべて抽出することはできませんが、興味がある方向けに目次を載せておきます。
- 序章 今、「見える学力」より「見えない学力」が大事!―正解のない時代に子育てで大切なこと
- 第1章 人を大切にする力―多様性社会を生きて働くための基礎
- 第2章 自分の考えを持つ力―すべての学力の源になる「主体性」を育む
- 第3章 自分を表現する力―自分の言葉で「伝える」、相手の表現を「聞く」
- 第4章 チャレンジする力―失敗は「反省」より「やり直し」をしよう
- 終章 親が変われば子どもは変わる。みんなが変わる―今日から家庭でできる「4つの力」の伸ばし方
強烈に共感した一文
私が共感したポイントは多数あったのですが、ひとつに絞ってご紹介します。
それは「正解をつくってしまうと、正解を守れない子を排除しようとします」という一文でした。
例を引用します。
たとえば「廊下を走らない」「廊下は右側を歩け」というルール。(中略)
大空小学校には、重度の自閉症と診断されている子どもや、特別支援学級に通っていた子どももたくさん転校してきます。なかにはルールを理解できない子もいるのです。
(中略)
もしもその子が廊下の左側を歩いてきて、右側を歩いてきた子とぶつかったら、先生は「左を歩いているからでしょう!」って注意しますよね。あるいは、良かれと思って「この子は右左がわからないんだから、あなたが譲ってあげなさい」などと言ってしまう。
これでは、わからないこの子は格下、ということになりませんか?これを聞いた子どもは知らず知らずのうちにそんな価値観を植え付けられてしまう。
でもね、大切なのは「何のために」という目的です。何のために廊下を走ってはいけないのか、何のために廊下の右側を歩くのか。ぶつからないためですよね。
そうであれば、ぶつからないように歩けばいい。これだけ。
「規則を守る子は多様な社会を生きていけない」
ぶつからないように歩けば、結果的に誰もぶつからない。
それが目的。目的を見失ってはいけない。
心に刻みつけたいと思います。
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