怖くない「子連れアート」の手引き

家庭教育

萩原麻友(ハギワラマユ)のブログへのご訪問ありがとうございます。

このブログでは、子育てや教育や進路に関する情報を発信しています。

この記事ではこんなことを解説しています
  • 小さい頃に美術館に行く意味
  • 子連れで行く美術館の選び方
  • 子連れアートの楽しみ方

私の子どもたちはいま小1と小3ですが、

まだ二人が乳幼児の頃は、よく一緒に美術館や博物館に行きました。

小学校に入ってからコロナが始まったこともあり、頻度は減ってしまいましたが、まだまだ大事にしていきたい習慣です。

私が大学生の頃は、博物館学を学んだり、美術館にせっせと通ったり、デパートのギャラリーでアルバイトをしたりと、「アートのある空間」は私にとって欠かせないものでした。

そのきっかけはやはり、アートを軽視しないボーディングスクール教育を受けたことだと思いますが、その話はまた別途。

思えば小学生のときに住んでいた神戸市では、のびのびパスポートという事業で、美術館や博物館などの施設がひとつの冊子になっていて、スタンプラリー感覚で子どもだけで出向いていました。

特に親に連れられていた覚えはありませんが、もとからそういう子だったのでしょうね。

図書館にいながらこの笑顔ですしね

小さい頃に美術館に行く意味

美術館なんて学校の校外学習などで行って以来、行ったことがない方も珍しくないと思います。

そんな方からすると美術館は「一部のモノ好きが行くもの」「学校の課外授業で行くもの」なのかもしれません。

でも美術館は、うまく活用すると楽しく学べたり遊べたりする、優秀な親子スポットなんです。

なんか怖い写真になったけど!

そもそも美術館とは

「美術館」というと、「ピカソ展」みたいな「有名な絵画を眺める」場所と思われるかもしれません。

「絵がわからない」人はお断りの、敷居が高い場所だと思っていませんか?

それはとてももったいない解釈!

そもそも美術館は、日本が誇る「社会教育」施設の一種で、法律上は博物館のくくりになります。

ここからはうんちくですが、

社会教育とは、「学校」や「学校のカリキュラム」では行われない教育活動のことを指します。

なので、博物館や美術館が取り扱うテーマは、とっても幅が広く、いろんな学習ニーズに沿っているんです。

社会教育は子どもから大人まで、全国民が対象です。

ちなみにトリビアですが、この「社会教育」という概念はとても日本らしいというか、他国でも似た概念はあるものの、直訳できる言葉がありません。

日本の社会教育の拠点となる施設は、美術館以外にも図書館、博物館、動物園、植物園、水族館などを広く含みます。

なかでも博物館や美術館は、日本になんと4400件以上あるそうです。

文部科学省生涯学習政策局. 平成27年度社会教育統計(社会教育調査報告書). https://www.mext.go.jp/b_menu/toukei/chousa02/shakai/kekka/k_detail/1378657.htm

こんなにたくさんの社会教育活動と施設が身近にあるのは、世界でも珍しいことです。

活用しない手はありません。

どうせ覚えていない、観てもわからない

子どもが小さいうちに行っても、意味がない。

大人が観てもわからないから、連れて行くのが忍びない。

ほかの人から白い目で見られるのでは。

こうした意見もたまに聞きます。

そんなことないです

日常とは違う景色、色や素材の組み合わせ、並び方、周りの大人たち。

こうした非日常空間は、ただそれだけで子どもには新鮮で刺激に満ちています。

子どもは、言語やことば以外にも外界から吸収していることがたくさんあります。

美術館は、施設ごとに、展示ごとに、個性があります。

刺激の幅を簡単に広げられるのが、美術館です。

美術館を始めとする社会教育施設は、基本的には何歳からでも入れます。

私も、子どもをおんぶやベビーカーでよく美術館や博物館に行きました。

0歳からでも大丈夫です。

小さい頃に美術館にいくメリット

ほかにもたくさんあるので、メリットをリストアップしておきます。

小さいときの美術館のメリット
  • 非日常の刺激がある
  • 場所ごとに「お約束(マナー)」があることを学ぶ
  • 親子でのおでかけできて嬉しい
  • 親の誘いにまだ付いてきてくれる年齢
  • 子どもは入場料が無料のことが多い
  • 子どもの反応を見ることで、独自の好みや興味が見えてくる
  • 子どもの成長を感じることができる
自分の足で歩いてついてきてくれるだけで成長を感じます
写真OKな展示では、キッズカメラを持たせて

子連れ美術館の選び方

さて、子連れで美術館に行くメリットを感じていただいたところで、「どの美術館から攻めるか」という問題をクリアにします。

観たいものをみればいい

基本中の基本ですが、まずは「親が観たいもの」を選びます。

親が楽しそうにしていたり、リラックスしていたり、そんな空間でないと子どもも安心して環境を味わえません。

ただし、注意点が2つあります。

子どもが怖がらない展示

暗い展示や、大きな音が出る展示などは、子どもがいろんな種類の刺激に慣れてから連れていくほうが無難です。

絵本作家の展示だと子どもにもフレンドリーなことが多い

人混みを避ける

人気の企画展は混みます。

混むと、目線が低い子どもから見えるものが限られたり、思うように進めなかったり、気を使ったり、トイレで並んだりといいことがありません。

企画展(特別展)よりも、常設展(コレクション展)のほうが傾向として空いています。

野外ミュージアムや、パブリックアートなど、室外の展示も子連れ初心者にはおすすめです。

どう探せばいいかわからないときは、こういうメディアから選んでみてください。

空いているタイミングを狙う

美術館には「空いているタイミング」があるので、積極的に狙いましょう。

  • どうしても企画展に行きたい場合は、会期の前半を狙います。ただし、最初の週と週末は混むので避けるべし。
  • 一般的な学校の冬・春・夏休みは避けるべし。
  • 平日が狙い目。団体とかぶって動きにくいタイミングがあるかもしれませんが、子どもの声が紛れやすくていいという考え方も。
  • 客足が鈍る悪天候のとき(雨など)

子どもがぐずったら撤退する覚悟を

コンディションが悪いときは、撤退するのも手です。

私も一人なら2時間ほど滞在できるような展示でも、子どもと行くときは30-45分ほどで済ませたりします。

子どもが小さいうちは特に、家を出ることができた、現地に到着ができた、など「小さい成功体験」を積み上げることが大事です。

この小さな成功体験は、いずれ大きな成功をするための予行演習になります。

「戦略的撤退」を最初から覚悟しておくと、諦めもつきます。

まずは近くて行きやすいところから挑戦するのもありです。

45分ほどの展示鑑賞のあとの兄弟二人。大人も緊張がほぐれます。

子連れアートを楽しむコツ

子連れアートのコツは、ベストな美術館とタイミングを選ぶだけではありません。

現場での心得も紹介します。

全部見ようとしない

入場料を払って入っているので、そこにあるものをすべて見たくなる気持ちもよくわかります。

あるいは、せっかく子どもを連れてきたのだから、全部見せてあげなきゃとか。

しかし子連れ美術館は「その場に来れただけで成功」なので、全部見よう・見せようと思わなくて大丈夫です。

写真やメモに残しておく

子どもと美術館にいくと「○○の展示にはずっと張り付いていたな」など、子どもについて発見することがあります。

たとえそれが「まったく興味を持たなかったな、しょぼん」であっても、それは「そのとき」の子どもの姿。

写真やメモでそのときの様子をぜひ記録しておいてください。

あとから振り返ったときに、「あの頃からずっと興味を持ち続けている」だったり、「あのときは興味なかったけど今はすごい示している」だったり、経年的な観察につながります。

また、子どもの成長に合わせて一緒に振り返ると、本人がたとえ覚えていなくても写真を通してその美術館や作品に親近感を覚えることがあります。

この種まきで、次にその美術館や作品やテーマに触れたときの反応も変わってくることがあります。

図鑑とフィギュアを持参して標本と比べてみていた

予習でもっと楽しめる

ここまでの内容で、子連れ美術館を楽しむ下地は充分できているはずです。

ここからは上級編。

もっと子連れ美術館を楽しむためのアイディアを紹介します。

それが「予習」です。

マナーを知る

美術館は、基本的には「作品と向き合う」場所。

他の方が作品と向き合う邪魔にならないように振る舞う必要があります。

具体的には、音や声を控える、走ったり腕を振り回したりしない、ということ。

まだおしゃべり前のお子さんが発する音や声は、基本的には大丈夫です。(場所ごとにルールがある場合は、そちらに従ってください)

おしゃべりや歩きが始まっている子どもだと、ルールを守れるどうかは別にして、事前にレクチャーをします。

「今から入るお部屋では、大きな声を出すとほかのひとがびっくりして困ります。この扉を通ったら、最後の扉を出るまで、大きな声を出しません。なにか言いたいときは、とんとんと合図をしてください。二人だけでひそひそ話をしましょう。どうしても我慢ができないときは、声を出したり走ったりできる場所に移動しましょう。」

すぐにできなくて当たり前。

でも家や公園とは違う振る舞いが必要な場所があり、それには練習が必要だと、経験を通して学べる貴重な機会です。

展示を知る

コレクションや作品やアーティストについての本は、結構たくさんあります。

なかには、子ども向けに書かれているものも。

事前にこれから見るものを予習しておくと、子どもも一気に展示に引き込まれやすくなります。

子どもが騒いでしまう理由のひとつに、「退屈」がありますが、先に予習をしておくと、

「これから見るもののなかに知っているものがあるか、探してみよう」と声をかけるだけで、作品に集中しだすことがあります。

こうした「フック」を先にしかけておくのがコツです。

このときも、絵本の絵を探して回りました。
参考図書

ケイティのふしぎ美術館シリーズは、絵本調で読み聞かせにぴったり。

小学館あーとぶっくシリーズもおすすめです。

ひとつ上のシリーズ製作にも関わっている結城昌子さんは、子どもの美術教育の第一人者です。

ほかにもこんなに。

場所を知る

これは美術館に限ったことではありませんが、

事前にアクセス、駐車場、エレベーター、レンタルベビーカー、おむつ替えスペース、授乳室、トイレなどへの導線を確認しておくと役立ちます。

もっとある楽しみ方

だんだん感覚が掴めてきて「これは私たち親子に向いている活動だ」とおもったら、まだまだ発展させることができます。

  • 展示の図録を購入して家で観る(だいたい展示併設のショップで購入ができます)
  • ポストカードを購入して家で観る(図録だと場所を取るので、気に入った作品のポストカードを購入して飾ったりファイリングするのもオススメです)
  • 美術館のワークショップに参加する(子ども向けのものも多数企画されています)
  • 博物館などの展示では、模型やレプリカを購入できることもあります。

対話型鑑賞を取り入れてみる

最近のアートの授業やワークショップでは、「対話型鑑賞」というプロセスを採用していることがあります。

こうしたノウハウは専門家だけのものではなく、家庭でも取り入れられることがあるのでぜひ試してみてください。

色や形や表現に触れ続ける

なにも教室に通わなくても、身近な材料で色や形の実験をすることはできます。

  • 塗り絵
  • 折り紙
  • レゴ
  • 粘土
  • 絵本
  • 公園

実はインスタグラムで、息子の作品をまとめております。(最近はゲームにハマっていて更新が途絶えていますが)

まとめ

いかがでしたでしょうか、子連れアートの手引き。

子どもの頃から美術館や社会教育施設が好きで、大学でも博物館学を学び、子どもたちもアチコチ連れ回している私の視点でまとめてみました。

最後に昔話をします。

私が都内の美術館に幼い子どもを二人連れて行ったときのことです。

一人をおんぶして、一人をベビーカーに乗せて回っていたら、ある女性が

「子どもと一緒に美術館って素敵ね」と声をかけてくれました。

乳幼児との外出はただでさえ気を使いますが、

ましてや美術館なんていつでも「撤退できる」覚悟で行っているので、

そんな優しい言葉をかけてもらえるだけで、居場所を与えてもらえたようでほっとしたのを覚えています。

やさしい声をかけてもらったときのメンバー

大丈夫。小さい成功を積み重ねるつもりで。

ぜひ、楽しい子連れアートを体験してみてください!

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