ボーディングスクール受験エッセイの書き方:対策ポイント解説

ボーディングスクール

萩原麻友(ハギワラマユ)のブログへのご訪問ありがとうございます。

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この記事ではこんなことを解説しています
  • アメリカの受験スタイルの違い: アメリカのボーディングスクール受験は日本と異なるホリスティックなアプローチを持ちます。その違いを把握し、エッセイの重要性を理解しましょう。
  • エッセイの書き方ポイント: エッセイ作成のステップや注意すべきポイントを具体的に解説しています。リサーチ方法や「ビッグ・ツー」へのアプローチ、エッセイ作成のプロセスなどに焦点を当てています。
  • 受験生の成長と独自性の表現: エッセイは単なる受験の一環ではなく、受験生自身の成長や独自性を深く探求する貴重な機会です。どのようにして自分の多面的な人格や将来の展望をエッセイに表現するか、そのアプローチを紹介しています。

アメリカのボーディングスクールの入学試験は、日本の受験スタイルとは異なる独自のアプローチを持っています。

特に受験生が書くエッセイはその重要な一環であり、願書の中でも大きな影響を持つ要素です。

エッセイはあくまで受験者本人が書くものです。でも、慣れない言語で慣れない作業をさせるのは、一般の中学生にはレベルが高いです。

この記事では、エッセイの重要性と取り組み方に焦点を当て、日本の受験経験とは異なる点や注意すべきポイントを解説します。

ボーディングスクール受験を検討する保護者や指導者による指導やアドバイスの一助となることを目指しています。

身近な大人のひとが適切にガイダンスをすることで、本人がエッセイのことを理解する手助けができます。

私自身がアメリカのボーディングスクール受験および大学受験を経験し、エッセイの指導にも関わってきた経験をもとに、具体的なアプローチとポイントを紹介します。

アメリカの受験の「ホリスティック・アプローチ」

アメリカのボーディングスクールの入学試験は、日本の受験スタイルとは異なる独自のアプローチを持っています。これを「ホリスティック・アプローチ」といいます。「総合評価」と訳されることも多いです。

日本の受験に慣れている方々に向けて、アメリカの「ホリスティック・アプローチ」の特徴とポイントを説明してみます。

「ホリスティック・アプローチ」は、受験生の成績だけでなく、その人の個性や背景、人生経験にも注目するアプローチです。

日本のように偏差値や試験の点数だけで選別するのではなく、受験生一人ひとりの物語や意欲、熱意を理解しようとする試みです。

このスタイルの入試では、学校成績や試験スコア以外に以下の点で評価される特徴があります。

  1. エッセイ: アメリカのボーディングスクールの入試では、エッセイが非常に重要な役割を果たします。受験生は与えられたテーマに対して自分の考えや経験を文章にして提出します。これを通じて、ライティング力だけでなく、受験生の人格や価値観、学校への意欲などが見えてきます。
  2. 推薦状: 受験生は通常、教師や指導者からの推薦状を提出します。これにより、受験生の学業成績だけでなく、人間関係や協調性、リーダーシップなども評価されます。
  3. 面接: 多くのボーディングスクールでは面接が行われます。これにより受験生との対話を通じて、その人の考え方や性格、将来の展望、表現力などをより深く理解しようとします。>>入試担当者に聞いた面接のコツ
  4. 課外活動: 学業外の活動や趣味、特技なども評価対象です。これにより、受験生の多様性や興味関心を知ることができます。>>課外活動にありがちな勘違い

ホリスティックな入試スタイルは、受験生一人ひとりの多面的な魅力や個性を見つけ出すことを重視しています。

数値で表れる成績だけでなく、人間性や意欲、将来の展望を通じて、学校と受験生のベストなマッチングを図ることを目指す仕組みです。

当然、向き不向きがあります。

この記事では、特に「エッセイ」への取り組み方にフォーカスして、このホリスティック・アプローチを紐解いていきます。

ボーディングスクール受験エッセイの意義と特徴

アメリカのボーディングスクールにとって、エッセイは受験生の個性や思考を深く掘り下げる重要な審査材料です。

エッセイ課題は通常復数あり、学校ごとに異なるものが課される場合があります。(共通出願形式もありますが、ここでは一旦省きます)

多岐にわたるエッセイ課題例
  • パンデミックはあなたの生活や考え方にどんな影響を与えましたか?
  • もしも家庭内または世界でなにか問題を解決できるとしたら、それは何か、そしてなぜそれを選びましたか?
  • あなたの世界観が覆された経験について説明してください。それがあなたにどのような影響を与えましたか?
  • もし一日だけ誰かと過ごすことができるなら、誰を選びますか? なぜその人を選び、そのときどのように過ごすかを説明してください。

エッセイ課題は、日本の受験とは異なり、受験生の人生経験や考え方に焦点を当てることが求められます。

対策が難しいと思われるかもしれませんが、実はどの学校も、エッセイ課題の根本的な特徴と目指すべき内容は共通しています。

ボーディングスクール受験エッセイ課題の「ビッグ・ツー」

ボーディングスクールの審査官がエッセイを通して知りたい要素は、大きく分けて2つの質問への回答です。

この記事では「ビッグ・ツー」と呼ぶことにします。

審査官が読みたい「ビッグ・ツー」
  • 「あなたはどんな人?」
  • 「なぜうちの学校で学びたいの?」

これらの質問への回答を通して、受験生の人格や価値観、学校への意欲を読み取り、自校とのフィット感や期待できる貢献度を確認しています。

どんなエッセイ課題も、結局はこの「ビッグ・ツー」に答えられていないと、物足りないことになります。

それぞれ解説します。

「あなたはどんな人?」

ビッグ・ツーの1つ目の問いは、「あなたはどんな人?」です。

この質問は、受験生の過去、現在、そして未来への展望を通じて、その人物像を綿密に描写するものです。

要するに、以下のようなことを多角的に説明します。

  • 過去の経験や出来事が自己の考えや価値観にどのように影響を与えたのか
  • 現在の趣味や興味がどのように成長や自己表現に繋がっているのか
  • 将来の目標や志向がどのように自己の多様性や独自性を示しているのか

自身の内面を深く掘り下げ、審査官に受験生の広範な魅力を伝えることが求められます。

この問いは、以下のような姿で問われることがあります。

課題例
  • あなたの人生で影響を受けた出来事や人物を挙げ、それらがどのようにあなたの人格や考え方に影響を与えたか説明してください。
  • 現在の趣味や興味、関心事を紹介し、それらがどのようにあなたの人間性や成長につながっているか述べてください。
  • 自己の強みや弱点、そしてそれらをどのようにして克服し成長させてきたかについて説明してください。

どんな形の質問を投げられたとしても、審査官がエッセイを読んだあとに「あなたはこういう人なんですね」と印象づけられたら成功です。

「なぜうちの学校で学びたいの?」

この質問は、受験生の学校への志望度とその根拠を探るものです。

受験生は、その学校固有のプログラムやカリキュラム、学風や理念を熟知し、自身の将来の目標とどのように結びつけるかを考える必要があります。

なぜその学校を選ぶのか、他の学校との違いは何か、自身の成長や学びにどのような価値を見出しているのか、具体的かつ説得力のある理由を示すことが求められます。

ビッグ・ツーの2つ目のこの問いは、以下のような姿で問われることがあります。

課題例
  • なぜアメリカのボーディングスクールで学びたいと思うのですか? どのような特徴や環境があなたにとって魅力的ですか?
  • あなたにとって、この学校が他の選択肢よりも特別なものである理由を教えてください。
  • この学校のカリキュラムやコミュニティが、あなたの個人的な興味や目標とどのように合致していると思いますか?

1つ目の質問「あなたはどんな人?」には「私はこういうものです」と答えたうえで、

2つ目の質問「なぜうちの学校で学びたいの?」にも「なぜなら私はこういうものだからです」と重ねるのがポイントです。

ありがちなのが、「なぜうちの学校で学びたいの?」に対して「なぜなら貴校はこういう学校だからです」と返してしまうこと。

学校のことは学校が一番よく知っています。逆に知りたがっているのは、生徒のことです。

ビッグ・ツーには「自分本位で」答えることで、他人とかぶりにくくて、説得力が高くて、相手の知りたいことに応えることができます。

次に、エッセイの書き方について解説します。

ボーディングスクール受験エッセイの作成ステップ

アメリカのボーディングスクール受験において、エッセイは受験生の個性や人生の深層に迫る重要な部分です。

でも順番を履き違えてしまうひとが多いのもここ。

エッセイを成功させるためには、以下のステップを順番に進めることが重要です。

  1. ブレインストーミング
  2. ドラフト作成
  3. エッセイの推敲

1から3まで、一気に進めることはお勧めしません。

時間を適切に分散させ、急がずに進めることが重要です。

充分な時間をかけてアイディアを練り、ドラフト作成や推敲に取り組むことで、より完成度の高いエッセイを仕上げることができます。

エッセイのためのブレインストーミング

ビッグ・ツーである「なぜうちの学校で学びたいの?」と「あなたはどんな人?」に向き合う際には、ただ単に問いに答えるだけでなく、深い洞察力と自己内省を取り入れることが重要です。

なのでエッセイ課題を見る前に、自分のビッグ・ツーに答えるためのアイディアを広げるブレインストーミングを行います。

大事なのでもう一度。

「エッセイ課題を見る前にビッグ・ツーへの自分なりの回答をブレストしましょう。

遠回りのようで、それが近道です。

以下のようなブレスト質問を参考にしてみてください。

ブレスト質問集
  • 好きなことをリストアップ。余暇の時間に何をするのが好きですか?
  • 自分について誇りにしていることはなんですか?
  • 自分について恥じていることはなんですか?
  • これまでの人生で最も大きな障害はなんでしたか?
  • あなたを最もよく表す言葉はなんですか?
  • 人生で最も辛い瞬間はなんでしたか?
  • あなたが今までに冒した最大のリスクはなんですか?
  • あなたの人生で最も重要な人間関係はなんですか?
  • 誰と一緒に過ごすのが一番好きですか?
  • あなたにとって最も重要な考え、信念、または事実はなんですか?
  • 映画や本、歌、詩からのお気に入りの引用はなんですか?
  • 今日の世界が直面している最悪の問題はなんですか?
  • あなたの一番の心配ごとはなんですか?
  • あなたが一番ワクワクすることはなんですか?

ブレインストーミングは、たっぷり時間をかけてください。

人によって必要な時間は違いますが、1度で数時間かけてやるよりも、数十分を何度かにわけて気軽にやるほうがおすすめです。

またブレストするときも一人でできる人、誰かにガイドしてもらったほうがやりやすい人、様々です。

いずれにしても、早くから何度かに分けて取り組むのが吉。

ひととおり出し切ったら、自分のことをよく知っている誰かにブレストを見てもらうことで、新たな視点やアイディアを取り入れることもできます。

ボーディングスクールについてリサーチ

エッセイを書く前に、学校についてしっかりとリサーチすることは非常に重要です。

ウェブサイトやパンフレットなどの公式資料で以下のポイントをチェックしましょう。

  1. 学校のカリキュラムと特徴: どのような授業やプログラムが提供されているか、学校の特徴や強みは何かを調べましょう。それがなぜあなたに合っているのか、具体的な理由を見つけておくことが大切です。
  2. 学校の文化と価値観: 学校の雰囲気やコミュニティの特徴、学校が大切にしている価値観について調べることが重要です。自分の価値観や興味と合致する点を見つけてみましょう。
  3. 学校の成り立ちと伝統: 学校の歴史や伝統は、そのアイデンティティの一部です。学校の歴史的な背景や特別なイベント、伝統的な行事についても調査してみてください。
  4. 先生やコーチ: 学校の教員陣についても調べておきましょう。自分の興味ある学問や活動や趣味、特技に関わる可能性がある先生やコーチについて触れることも考えてみてください。
  5. キャンパスや施設: 学校のキャンパスや施設がどのような環境であるかも調査しておきましょう。図書館、研究室、スポーツ施設など、あなたが活用したいと思う場所をリサーチしてみてください。
  6. 学生の成功例: 過去にその学校を卒業した生徒たちの成功例や進学先、活動内容などを調べることで、学校の影響力や教育の質についての理解を深めることができます。
  7. アカデミックな要素: 大学進学実績や学校の評判、カリキュラムの難易度など、アカデミックな要素も確認しておくことが大切です。
  8. 学校のニュースやイベント: 学校の公式ウェブサイトやSNSを通じて最新のニュースやイベント情報をチェックし、学校がどのような活動を行っているかを知ることも重要です。

これらのポイントをリサーチすることで、学校についての深い理解を得ることができます。

その後、自分のエッセイと学校の特徴や価値観を結びつけることで、あなたの志望校への熱意と適合度を強調するエッセイを書くことができます。

エッセイドラフト作成

ここでようやく、志望校のエッセイ課題を見ます。

選択式であることも多いので、ブレインストーミングとリサーチで得たアイディアを元に一番向いている課題を選びます。

そして、エッセイのドラフトを書き始めます。

最初から完璧である必要は全くありません。まずは選んだ課題に沿ってアイディアを整理し、流れを作り出すことが重要です。

ドラフトをつくるときは、以下のポイントに意識してみましょう。

  1. 課題の問いに答える: 第一に質問に対する回答になっていることが大切です。
  2. ビッグ・ツーへの回答で補う:質問への回答だけでは文字数が足りなかったり、具体性に欠けていたり、アピール力不足だったりします。ビッグ・ツーにも答えられているか。過去から現在、未来までを通じて自己の考え方や成長が反映できているかを意識してみてください。
  3. ストーリーテリング: 過去の出来事や現在の趣味を通じて、自分自身を読者に魅力的に伝えるストーリーテリングを心がけましょう。起承転結やギャップを意識してみてください。
  4. 学校との適合度: 学校ならではの特徴やプログラムと自身の経験や目標と結びつけて、いかにその学校にフィットしているか具体的に説明しましょう。
  5. 説得力のある理由: なぜその学校を志望するのか、なぜそのような価値観や目標を持つのか、その理由には説得力が必要です。感情だけでなく、論理的な根拠や経験を示すことが重要です。
  6. 自己の成長と学校への貢献: 自己の成長や学校への貢献を強調しましょう。自分がその学校でどのように成長し、学校コミュニティにどのように貢献できるかを明確に示すことが求められます。
  7. 出願提出物全体のバランスを見る: 次の節で説明します。

ドラフトが書けたら、第三者に見てもらってフィードバックを受けましょう。

何度でも書き直す前提で取り組むので、この段階もたっぷり時間をとってください。

出願提出物全体のバランスを見る

エッセイの数は、どの学校でも3つから5つの範囲内で求められることが一般的です。

ただし、たとえば自分がスポーツ選手であるからといって、全てのエッセイをスポーツに関する話題に絞るのは避けるべきです。

なぜなら、受験エッセイは自分の多面的な人格や成長、将来の展望を網羅的に示す場だからです。

各エッセイに個別のテーマを持たせ、他の提出物との調和や役割分担も考慮しながら進めることが大切です。

例えば、スポーツをテーマにエッセイを書く場合、そのスポーツがあなたにどのような影響を与え、どのように成長の機会となったかを明確に示します。

そして他のエッセイでは、他の趣味や関心、社会的な貢献など、異なる側面を取り上げて自己を多面的に描写することで、アドミッションオフィスに自己の多様性や広がりを示すことができます。

提出物全体の調和も考慮して、エッセイ以外の部分(成績、推薦状、履歴書など)も使って、あなたの個性やアピールポイントをバランス良く提示することが重要です。

各提出物が自分の「ビッグ・ツー」をサポートするように心がけることで、あなたの志望校への適合度や価値を明確に伝えることができます。

エッセイの数が多くても、それぞれのエッセイが個別の視点を強調し、全体として一貫性のあるアプリケーションを形成することが成功への鍵です。

そのためにも、事前のブレストにたっぷり時間をかけることが大事です。

エッセイドラフト推敲

書いたエッセイをしばらく寝かせてから、新鮮な目で読み直します。

わかりにくい表現や論理の飛躍、文体の統一性などをチェックし、改善点を特定します。

文体や表現を工夫し、より魅力的な文章に仕上げるために、何度も推敲を繰り返します。

改善点を修正し、最終的なエッセイを仕上げます。

時間をかけて丁寧に取り組むことで、魅力的なエッセイを生み出しましょう。

ボーディングスクール受験エッセイまとめ

アメリカのボーディングスクール出願エッセイの鍵となるポイントを解説しました。

エッセイは単なる入試の一環にとどまらず、受験生自身の内面や独自性を深く探求する貴重な機会です。

エッセイ作成は自己探求と表現のプロセスであり、繰り返しの試行と改善を通じて、自分自身の深層に向き合う貴重な機会となります。

ビッグ・ツーである「なぜうちの学校で学びたいの?」と「あなたはどんな人?」に向き合う際には、ただ単に問いに答えるだけでなく、深い洞察力と自己内省を取り入れることが重要です。

これらのポイントを把握し、チャンスを最大限に活かしてください。

読者の皆さまの受験準備にお役立ていただければ幸いです。

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