日本国内のインターナショナルスクールへの進学を初めて検討する保護者は、どこから始めたらいいかわからないかもしれません。
この記事では、私がインターナショナルスクール入門者だったらチェックする本をご紹介します。
私は、小2から中2まで国内のインターナショナルスクールに通っていました。大学時代にはプレスクールでバイトをしていたこともありますし、実子をインターの幼稚園に入れたこともあります。かつての在校生として、従業員として、保護者として、インターを見てきました。詳細のプロフィールはこちらに。
経験者が語る以下の記事も参考にしてください。
おすすめの書籍
子どもをインターに入れたいと思ったときの3冊
子どもをインターに入れたいと思うタイミングっていつでしょう。
早いご家庭だと、子を妊娠したとき。
子が幼稚園に上がるとき。
子が小学校に上がるとき。
子がすでに通っている学校の方針に違和感を感じたとき。
どんなタイミングであれ、国内のインターについてあまり知らない方には、まずはこちらをおすすめします。
著者の平田久子さんは、実際にお子さまを東京の老舗インターに入れていました。そのときの当事者目線も交えながら、国内インター全般の基礎知識から進学についてまでコラム調で書かれていて、入門書としてぴったりです。
次にご紹介するのは、元インターナショナルスクール生かつ母親がインターナショナルスクール教師という櫛田健児さんが書いた本です。「老舗vs新設」インターの違いから経験談まで、とても大事なことが読みやすく、バランス良く書かれています。Kindleのみですが、お薦めです。
一冊目・二冊目に紹介したのは、実際に子どもをインターに通わせた元保護者や元生徒の本でした。そこに書かれていることは、よくもわるくも内部者としてのバイアスがかかっています。
観点のバランスを取りたい方は、こちらも併せて読んでみてはいかがでしょうか。
受験、とタイトルにあるのでインターを検討する方の一部には敬遠されるかもしれません。(現に、私の母が私をインターに入れた理由のひとつに、受験を避ける目的がありました。)しかし、この本は受験を進めると言うよりも、受験を検討する前に知っておくべき日本の進学の基礎知識です。
中学以降の学校に関する話題がメインですが、小学校就学前の保護者にもおすすめできる内容です。むしろ保護者自身の学生時代からアップデートされている教育事情を早めに知っていた方が子供の教育について計画を立てやすいです。
この本の著者のおおたとしまささんは、育児教育ジャーナリストで教育関係の本を多数出版されています。麻布中高のご出身です。
いわば中学受験の王道を経験し、教育業界をつぶさに観察してきた専門家が、公立私立と並列してインターをどう捉えているか、が興味深い一冊です。
同じ著者の他の本もおすすめですが、この本がおおたとしまさワールドの指南書となります。
インター候補リストを作りたいときの3冊
これまで紹介した3冊で当事者と教育ジャーナリストによるインターナショナルスクールのマクロな概要がわかったら、次は実際に通える範囲にある学校をミクロに見ていきましょう。
3冊あります。
まずこちらの全国版のインターナショナルスクール活用ガイドはちょっと古いですが全国各地のインターが網羅されています。
まずはこちらの本を手に取ってみてお住まいのエリアにどんな学校があるのかを調べます。新しい学校や知名度が低い学校は載っていない可能性が高いですが、まず検討するなら実績や知名度がある程度伴う学校のほうが情報量も多くてわかりやすいでしょう。
小学校入学や編入を希望されている場合は、アエラから毎年出ているこのムックがおすすめです。インターだけでなく英語や国際理解教育で注目の学校や取り組みが紹介されています。
注意として、雑誌は広告の集まりでもあるので、その分差し引いて冷静に受け取りましょう。
こちらも毎年発行されています。本来は帰国子女の受け入れに寛容な学校のリストですが、英語教育で独自の取り組みを行っている学校が公立私立問わずたくさん載っています。学校上記のアエラムックのような商業色はなく、とても頼りになる便覧です。
上記の3つの本を参考にしていただければ検討に値する大体の学校に出会うことができるでしょう。
何校かリストアップできたら、今度はネットでHPやSNSや掲示板をチェックしたり、アポをとって見学にいくなどのステップに進みます。
私は学校見学を非常に重要視しています。なるべく子どもと一緒に行くことをおすすめします。学校見学の重要性は、この記事でも書いています。
インター設立のストーリーにも興味が出たらこの3冊
インターへの入学が目的ならここまで知る必要はないのですが、学校の設立に興味がある方は、こちらの3冊がおすすめです。
学校設立の裏にはその時代の背景が必ずあり、それを知ると業界全体への理解も深まります。
軽井沢のISAK(International School of Asia Karuizawa)の代表理事を努める小林りんさんのインタビューを軸にした学校設立ルポがこちら。胸アツなストーリーです。
特に小林さんの経験には私にも共通する(と感じられる)部分が多々あり、何度も本を置いて噛み締めてしまいました。
次はちょっと古い本です。大阪府にある現在の関西学院千里国際が旧・千里国際学園として設立された当時の日本の時代社会背景が丁寧に書かれています。
関西学院千里国際は日本人向けの学校なので、いわゆるインターではありません。インターナショナルスクールを併設している国際バカロレア校です。「二つで一つの学校」として知られています。
一口にインターといっても、いろんなタイプの学校があります。
こちらは別の角度から。
日本の公教育ではすくいきれない、でも確かに存在する教育ニーズに答える教育機関と、そこで学ぶ子どもたちの姿、そして支える大人の様子が描かれています。
いろんな学校が登場しますが、私の母校であるマリスト国際学校が阪神大震災で受けた被害、そして当時の大人たちがどのように学校を守ってくれていたのかについても触れてありました。
私がマリストに転校した数カ月後に、被災し、校舎は全壊しました。
あのまま閉校してもおかしくなかったほどの出来事です。
あのとき、私の子ども時代を守ってくれた大人たちと社会には感謝してもしきれません。
選択肢を持つための4冊
結果的にインターじゃなくてもいい
特に小学校段階が一番迷うご家庭が多いのではないかと思います。
公立・私立・インターという選択肢が一番豊富な時期だからです。
いろいろ調べてみたらうちの子にはインターではなかった、という結論もありえます。インターに期待していた目的がなんであれ、代替案はいくらでもあるんです。
選択肢を持つことが重要なんです。
もし「語学力」がインターを考えるきっかけであったなら、こちらの本は年齢別に家庭で取り組める英語学習方法が紹介されています。
もし「世界で生きていく力」や「グローバル教育」がインターを考えるきっかけであったなら、こんな本からヒントを得ることができます。
きっかけがなんであれ、この情報と選択肢に満ちた時代にインターだけが答えであることはほとんどないと思います。どんな選択肢でもメリットがあれば、必ずデメリットもあります。
進学先選びはきっかけに過ぎない
インターなのか私立なのか公立なのか。
なんの疑いもなく目の前の選択肢に飛びつく家庭もあれば(それもよし)、周辺を見渡す家庭もあれば、世界中の選択肢を並べて検討する家庭もあります。
結果的に回り道になっていてもOKです。その検討する過程が、親と子の相互理解につながるし、将来を予測した行動につながります。進学先選びが、そのきっかけになりますように。
そしてインターに入れるなら、出口のことも考えておきましょうね。