日本語と英語を小学生から同時に習得・確立できるのか

インターナショナルスクール
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インターナショナルスクールの初等部か日本の小学校で迷う保護者さんからご質問をいただきましたので、ご紹介します。

ご質問いただきまして、ありがとうございます。

今回の内容は、あくまで「日本で子育てをしている、家庭内の主言語が日本語の家庭」を念頭に書きました。

多言語の家庭や海外在住の日本語家庭はケースバイケースですので、使えそうな部分だけ拾っていただけると幸いです。

「日本語と英語、同時に習得できるのか」というご質問

質問者さんに許可を頂いたうえで、ご質問を紹介します。

インター/日本の学校の進学でお悩みの未就学児の保護者の方からいただきました。

日本語と英語の両方を小学生から同時に習得・確立することは可能と思われますか?

インターだけだと、日本語力が心配になる。

日本の学校だと、英語力や思考力・自己表現力・多様性理解などが損なわれるのでは。

どちらを選んでも悩みは伴います。

いっそのこと、日本語も英語も同時に習得できるならそっちの道を選びたいと思われるのも無理はありません。

また逆に、無理なら諦めがつくのに、という考えもあるでしょう。

以下は、かつて幼少からバイリンガルになることを目指してインターナショナルスクールに入れられた私の見解です。

私の英語力は、過去に英検1級、TOEIC満点、TOEFL117を取得できたレベル。

日本語力の証明はありませんが、東京大学と大阪大学に合格(注意:帰国子女枠)、甲種ガス主任技術者というニッチな国家資格も日本語で勉強・受験し一発合格していますし、このブログは全部自分の言葉で書いています。

ということで、僭越ながらバイリンガルを名乗らせていただきます…

できるかもしれないけど…

似たようなご質問は以前からもいただいておりましたので、この際しっかり記事にしておこうと思います。

以下、私の回答です。

なにができたら習得・確立といえるのか

「言語を習得できている」「確立できた」のイメージはひとによって違います。

それは夫婦間であっても異なる場合があります。子どもの教育のゴールイメージを共有するためにも、まずは明確なレベル観を共有することが大事です。

使いやすいのはCEFRやCEFR-Jという、言語能力の共通到達度指標です。

これは言語に関係なく使える枠組みです。

語学に関係なく、その言語でできること・できないことを客観的に見える化できます。また、各種語学試験との互換表もあり、便利です。

CEFRはヨーロッパで発案されて国際的に使用されている指標ですが、公式日本語訳はありません。

そこでこの記事では、CEFRに準拠した日本版のCEFR-Jを採用してみます。こちらのほうが噛み砕かれている印象です。

試しにCEFR-JのレベルB2.2の内容を抜粋しました。

CEFR-J レベルB2.2は、CEFRではレベルB2です。これは英検でいうと準1級、TOEFL iBTでいうと72−95、TOEICでいうと700点後半です。(だいたいです。)

これは、大人の語学学習者がモデルです。

そのままでは子ども(特に小中学生以下)に完全に応用できないので、面倒ですが適宜、年齢相応のレベルに脳内変換してください。

CEFR-JのレベルB2.2
  • 非母語話者への配慮としての言語的な調整がなされていなくても、母語話者同士の多様な会話の流れ(テレビ、映画など)についていくことができる。
  • 自然な速さで標準的な発音の英語で話されていれば、現代社会や専門分野のトピックについて、話者の意図を理解することができる。
  • 記事やレポートなどのやや複雑な文章を一読し、文章の重要度を判断することができる。綿密な読みが必要と判断した場合は、読む速さや読み方を変えて、正確に読むことができる。
  • 自分の専門分野の論文や資料から、辞書を使わずに、必要な情報や論点を読み取ることができる。
  • 一般的な分野から、文化、学術などの、専門的な分野まで、幅広いトピックの会話に積極的に参加し、自分の考えを正確かつ流暢に表現することができる。
  • 幅広い慣用表現を使って、雑誌記事に対して意見を交換することができる。
  • 要点とそれに関連する詳細の両方に焦点を当てながら、流暢にプレゼンテーションができ、また、あらかじめ用意されたテキストから自然にはなれて、聴衆が興味のある点に対応してプレゼンテーションの内容を調整し、そこでもかなり流暢に容易に表現できる。
  • ディベートなどで、社会問題や時事問題に関して、補助的観点や関連事例を詳細に加えながら、自分の視点を明確に展開することができ、話を続けることができる。
  • 自分の専門分野や関心のある事柄であれば、複雑な内容を含む報告書や論文などを、原因や結果、仮定的な状況も考慮しつつ、明瞭かつ詳細な文章で書くことができる。
  • 自分の専門分野や関心のある事柄であれば、複雑な内容を含む報告書や論文などを、原因や結果、仮定的な状況も考慮しつつ、明瞭かつ詳細な文章で書くことができる。

これがCEFR-J レベルB2.2の「語学力」の定義です。

難しそうに思えるかもしれませんが、年齢に適したテーマであれば、小中高生でもできていることです。

もし「語学の習得」を目指すのであれば、このように「各4技能でなにができれば」習得できたことになるのか明確に決めておくといいです。

自分で考えなくても、CEFRやCEFR-Jが参考になります。

可能である

「言語を習得した」といえるレベルを仮にCEFR-JのB2.2とします。上記の引用を見ると、それが具体的にどういうレベルかわかりやすいですね。

日本語と英語にそれぞれ「たっぷりの時間子どもの理解度にあわせた指導をかけられるなら」、たとえば小学校のうちに日英ともに「年齢相応のB2」に到達することは、理論上可能です。

つまり、と〜〜っても手間がかかります。

しかも早期から二言語習得を頑張っても、どちらの言語も学力年齢を超えることはありません。つまり、学力年齢が上がるとともに語学もアップデートし続ける必要があります。

  • 日英それぞれにたっぷり時間をかけられること
  • 子どもの両言語の理解度や進捗をモニターしながら、その時々に適した指導を継続できること

この2点をできるなら、少なくとも「日英を小学生から同時に習得できる」といえます。

結構厳しいですよね。

その生活に子どもが満足しているか、たまに確認しましょう

だからといって、ベストともいいきれない

小さい頃からこの路線を進むことでしか、バイリンガルになれないのでしょうか。

実は、先に母国語を習得してからその知識をつかって外国語を学んだほうが「トータルでかかる時間や労力は少ない」という説もあります。

日本で子育てをする日本人家庭の大多数にとっては、この選択のほうがリスクが少ないと思います。

私も我が子についてはこの戦略を取っています。

限りある時間とお金の使いみちを考える

2言語を同時に習得する意義ーー私の場合

ちなみにご質問から少しずれますが、日英を「同時に」「同程度」習得することが果たして目標として妥当か、ということも気に留めておく必要があります。

(繰り返しになりますが、これは日本にいる日本人家庭に限った話です。多言語の家庭や、海外在住の日本人家庭はケースバイケースです。)

私の親は、私をバイリンガルにするためにインターにいれた典型例です。日本の国語も個別指導と進研ゼミでやっていました。

では各時期の私の英語vs日本語の脳内バランスを振り返ると、

日本インター時代: 日>英

アメリカ高校時代: 英>日

帰国後(大学〜現在): 日>>英

と、実はそのときの生活言語に左右されています。

要するに、私のような「バイリンガル」であっても日本語と英語がイコールだと認識できたことは一瞬もありません。

(あくまで私個人の見解であって、すべての「バイリンガル」を代表して言えることではないです)

かといって今の日本語優位な生活で全く英語が出てこないわけでもありません。

相手や場面や話題によっては英語のほうが言いやすくて、日本語がでてこなくてもどかしくなるときもあります。

このように、「バイリンガル」であっても脳内の言語バランスに偏りがあるのはおかしいことではありません。

普段入ってくる情報は、常に日本語か英語のどちらかであって、同時に両言語で入ってくることはないからです。

なので、頭の中の情報を言語でわけると常に不均等です。

それが、たとえば通訳や翻訳がお仕事の方ですと、普段から意識して両方をインプットして頻繁に脳内の整理もしているでしょうから、もっと均等かもしれませんね。

つまり、脳内の日英言語バランスを均等に保つには日常的なメンテナンスが必要で、それなりに労力も時間もかかります。

(この点、ほかのバイリンガルの方や翻訳通訳系職業の方の意見も伺ってみたいです。)

そのようなメンテナンスを必要とするお仕事でないのであれば、日英を「同レベルに高めて保つ」ことにわざわざリソースを割く必要はないのではないかと個人的には思います。

だからこそ、英語をするための目的と「どこまでできたら」その目的を達成したことになるのかを意識しながら学校や進路、つまりは時間と費用の使いみちを決めていただきたいのです。

まとめ

今回のご質問は、インターナショナルスクールの初等部か日本の小学校で迷う保護者の方から寄せられました。

日本語と英語の両方を小学生から同時に習得・確立することは可能と思われますか?

私の回答をまとめると、以下のとおりです

まとめ

日本語と英語の両方の習得・確立は…

・相当な時間と適した指導があれば可能です

・母国語がある程度確立してからのほうが、外国語をもっと効率的に学べるといわれています

・その分あまった時間や費用を他のことに使えます

日本人であっても英語をやっておいたほうがいいのは、そのとおりだと思います。もっというと、英語だけでは足りず、第3・第4言語にも広げられるならぜひそうしてもらいたいくらいです。

でも言語を習う時間を設けるということは、その分ほかのことができたかもしれない時間や機会を失うということでもあります。

子ども時代の時間は限られています。その時期をどう過ごすべきか、できること・できないことを現実的に考えましょう。

おまけコラム

ここからは余談ですが、以前もこのようなツイートをしていました。

このツイートでも書いているように、言語を学ぶ過程で多様な価値観の融合や衝突を身近に感じたり、マイノリティの立場を痛感したり、自分の文化や背景を客観視したりという「言語以外の」体験の価値は引き続き残ると思います。

ここでいっている言語学習の価値は、言語を正しく運用するかどうかではなく、多くの多様なひとや情報や価値観と交わって起きる化学反応にあります。

もしこれが言語だけの話であれば、今後は自動翻訳・通訳ツールはもっと当たり前になっているでしょうし、それを使いこなす職業人も出てくるでしょう。

つまり、個人単位で言語力単体を高めるインセンティブは減るのでは無いかと思っています。(そのことに気づかないままの人は多く残るかもしれません。あと、言語習得が趣味な人もいますね。)

一方で、ひとや情報と交わって起きる科学反応というのは、文字や言語という「記号」を介在しなくても起こりうることです。

たとえば、旅に出れば「記号化」が追いつかない体験や刺激に満ちています。現地語ができれば不便は減るかもしれませんが、できなくても吸収できるものがたくさんありますよね。

笑顔や仕草などの非言語手段で成立するコミュニケーションも、馬鹿にできません。

1言語でもいいので満足に使いこなせる言語(つまり母国語)があれば、少なくともその言語が分かる人に体験を共有したりぶつけ合うことができます。その言語化やぶつけ合いも立派な旅の副産物で、化学反応です。

言語化されたその体験を、もっと広めたいと誰かが思えば、翻訳者など必要なリソースを集めれば、できるんです。

外国語ができるかどうか、それがうまいかどうか、「正しい」かどうか、というのは私にとっては枝葉にすぎません。

言語習得は未知を体験するためのただの乗り物で、自分で乗りこなせないなら他に乗りこなしてくれる人がいます。

でも自分の体験をできるのは自分だけ。その感性を持っているのも自分だけ。自分にしか語れない体験談は自分のなかにしかないんです。

英語では”voice”ともいいます。直訳すると「声」ですが、「意見」や「オピニオン」などのそのヒト特有の考え方を言語化したものという意味も含んでいます。

本当に磨きたいのは、言語(language)よりも声(voice)です。

私は、その優先順位を取り違えたくないと思っています。

参考記事

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